【実施報告】応急処置講座を開催しました!
先日5月17日(土)、当院にて「応急処置講座」を開催いたしました。今回の講座では、当院リハビリテーション科理学療法士の石井寛人が講師を務め、日常生活やスポーツ活動で役立つ応急処置の知識と技術をお伝えしました。
講座の概要
講座は大きく3つのパートに分けて進行しました。
- スポーツ外傷の基礎知識
- 外傷後の判断・初期対応
- 熱中症の予防と対策
本記事では、内容をかいつまんでお伝えさせて頂きます。
第1章:スポーツ外傷の基礎知識
打撲や肉離れのメカニズム
打撲について「筋膜外血腫」と「筋膜内血腫」の2種類があることを解説しました。特に、打撲の際に起こる内出血の状態によって治療方法が異なることを、詳しい解剖図とともにご説明しました。
また、肉離れについては「急激に筋肉が収縮した結果、筋膜や筋繊維の一部が損傷すること」と説明し、特にハムストリングの肉離れについては、その原因となるリスクファクターとして「柔軟性の低下」が重要であることを強調しました。
足関節捻挫について
足関節捻挫に関しては、内反捻挫が全体の80%を占めること、また受傷部位によって回復期間が異なることをお伝えしました。捻挫と骨折の見分け方として「オタワアンクルルール」も紹介し、参加者は熱心にメモを取っていました。
第2章:外傷後の判断・初期対応
POLICEメソッド
以前の「RICE処置」から現在は「POLICE処置」という応急処置法に変わっていることを紹介しました。
- P(Protection):保護
- O(Optimal Loading):適切な負荷
- L(Ice):冷却
- I(Compression):圧迫
- C(Elevation):挙上
- E(Emergency):緊急事態の認識
特にアイシングについては、脂肪の厚さによって冷却時間が異なることや、湿布はアイシングにならないことなど、リハビリ中にお伝えすることが多い情報を盛り込みました。
実践・応急処置体験
講義の後半では、参加者全員で実際に応急処置の方法を体験しました。特に弾性包帯の巻き方やアイシングの正しい方法については、みなさん真剣に取り組んでいました。
日常生活ですぐに活かせる実践的な内容になったかと思います。
第3章:熱中症の予防と対策
熱中症のリスクと対策
熱中症は「高温多湿な環境下で、体に産生された熱がうまく放散できずに様々な症状が引き起こされる状態」と定義され、特に梅雨明け後の7月下旬から8月上旬に多発することを説明しました。
熱中症になった場合の応急処置として「FIRE」が重要であることを強調しました:
- F(Fluid):液体の経口摂取、または点滴
- I(Ice):身体の冷却
- R(Rest):運動の中止・涼しい所で休む
- E(Emergency):緊急事態の認識
今後に向けて
今回の講座は多くの方にご参加いただき、地域の皆様の健康と安全に対する関心の高さを改めて実感しました。特に講座内で紹介した「POLICE処置」は、ご存じない方が多かったのではないでしょうか。
バスケットボール選手は捻挫後40%以上が24時間以内に競技復帰してしまう、という衝撃的なデータも示しましたが、適切な応急処置と回復期間の確保が将来的な再発防止につながることを、改めて確認する機会となりました。
今後も当クリニックでは、このような健康教室を定期的に開催し、地域の皆様の健康増進と怪我の予防に貢献してまいります。次回の講座開催については、当クリニックのウェブサイト(https://inzai-seikei.jp/)や院内掲示でお知らせいたします。
最後になりましたが、お忙しい中ご参加いただいた皆様に心より感謝申し上げます。今後とも地域の皆様の健康をサポートできるよう、スタッフ一同努めてまいります。
