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膝の痛み

膝は私たちの体重を支え、日常の動作において地面から足への衝撃を吸収しています。
膝関節にはさまざまな筋肉・腱・靭帯が付いており、それらが正常に働くことによって安定性を保ったまま曲げ伸ばしをすることができます。
特に太もも前面の大腿四頭筋(だいたいしとうきん)は膝関節の曲げ伸ばしをする際、体重を支える重要な役割を担っています。

膝関節の機能を正常に維持するためには、関節に負担をかけすぎないようにしながらも周りの筋肉を常に鍛えておくことが非常に大切です。
ここでは膝の痛みの主な原因と考えられる疾患、治療法などについてご紹介します。

膝の痛みを引き起こす代表的な病気

変形性膝関節症

膝関節には骨と骨が接している部分に軟骨が存在します。
軟骨は、衝撃を吸収したり体重を分散し、膝の動きをスムーズにする役割があります。

加齢や肥満、重労働や激しいスポーツ、これまでの生活環境など様々な原因が重なって軟骨が擦り減ってしまい、骨と骨が直接当たることで膝に痛みが生じることがあります。
これを変形性膝関節症と言います。

原因

原因は関節軟骨の老化によることが多く、長い年月をかけて関節軟骨にダメージが蓄積され、変形性膝関節症に至ると考えられています。
また骨折、靱帯や半月板損傷などの外傷、化膿性関節炎などの感染の後遺症として発症することがあります。
加齢によるものでは、関節軟骨が年齢とともに弾力性を失い、使いすぎによってすり減り、関節が変形します。

また、変形性膝関節症は女性に多い疾患としても有名です。
ホルモンや筋肉量、女性特有の骨格など、男性に比べ女性は発症しやすい因子を多く持っているとされ、患者は女性が70%にものぼるとされています。

症状
膝関節の痛み

変形性膝関節症の最も一般的な症状であり、痛みは徐々に進行することがあります。
初めは軽度で、活動時に痛みが増すことが多いです。
痛みは関節の前面や内側、外側、後ろ側など、膝の特定の部位に集中することがあります。

関節のこわばり

膝の関節が硬くなり、動かすのが困難になることがあります。
特に長時間座ったり、休憩後に動かし始めた時にこわばりを感じることがよくあります。

関節の腫れ

膝関節周辺の軟部組織に炎症が生じることで、関節が腫れることがあります。
腫れは軽度な場合から、重度で明らかな腫れとなることもあります。

関節の可動域の制限

変形性膝関節症では、関節の動きが制限されることがあります。
膝を伸ばすことや曲げることが難しくなり、関節の可動域が狭くなることがあります。

歩行時の不安定感

膝の痛みや関節の変形により、歩行時に不安定感を感じることがあります。
膝が曲がったり傾いたりすることで、歩行の安定性が低下することがあります。

階段の昇降の困難

膝関節の動きが制限されるため、階段の昇降が困難になることがあります。
特に下り階段や長時間の階段昇降において、痛みや不安定感が増すことがあります。

これらの症状は、変形性膝関節症の進行度や個人の状態によって異なる場合があります。
症状が進行したり、日常生活に大きな制限を与える場合は、適切な治療を受ける必要があります。

治療法

治療は診察や検査で判別した重症度に応じて開始します。
初期は進行を遅らせる目的の保存療法がメインですが、末期に向かうにつれて手術療法にシフトしていきます。
比較的重度の方にも適応がある新たな治療選択肢として、数年前から再生医療が加わりました。

運動療法

重症度にかかわらず、全ての患者様が対象です。
運動療法は変形性膝関節症の治療ガイドラインで高く推奨されています。
膝を支える筋肉を鍛えることで、膝への負担を軽くしたり痛みを軽減することができます。
また、ストレッチで筋肉をほぐすことで関節の可動域の維持と向上に役立ちます。
運動療法は変形性膝関節症治療の中心かつ基本であり、重症度にかかわらず誰もが実践するべきものになります。

薬物療法

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)などの痛み止め(鎮痛剤)、ヒアルロン酸注射、ステロイド注射などが挙げられます。
薬物療法の大きな目的の一つは、膝の痛みが強くなることで運動から遠ざかり、筋力の低下を引き起こすのを防ぐためです。
薬物療法によって膝の痛みを抑えることで、運動療法を続けるモチベーションを維持します。

寒冷/温熱療法

患部を温める治療を温熱療法、冷やす治療を寒冷療法と言います。
温熱療法では血行促進と可動域の拡大が目的です。
温湿布やホットパック、入浴などの他に、医療機関で受ける電気療法、レーザー療法、超音波治療などがあります。
寒冷療法は患部の炎症が強いとき、腫れを抑えるのに有効です。

再生療法

再生医療は、体内の細胞や組織を修復・再生するために生物学的な手法を使用する医療アプローチです。
実用化主な治療法として、幹細胞療法、PRP療法と培養幹細胞治療などがあります。
自己組織を使用するため、拒否反応の心配等はありません。
保存療法(薬物療法やヒアルロン酸注射)を行っても効果を実感できないという人、医者に手術を勧められていて受けるべきか迷っている人などは検討の価値があります。
実際、痛みや関節機能の改善という面で、薬物療法を上回る利益がもたらされたという研究も報告されています。

ただ、再生医療はまだ研究段階であり、その有効性や安全性についてさらなる研究と臨床試験が必要です。
個々の患者の状態や病歴に基づいて、適切な施設や専門家の指導のもとで行われるべきです。

手術療法

保存療法で十分な効果が得られない場合には、手術療法を検討します。
関節鏡手術(膝関節鏡検査)、骨切り術、人工関節置換術などがありますが、手術治療は重症の場合や他の治療法が効果的でない場合に考慮されるため、自己判断せずに一度当院へご相談ください。

予防法
適度な運動

適度な運動は膝関節の強化と柔軟性の維持に役立ちます。
非負荷運動や低負荷運動(水中運動や自転車など)を取り入れましょう。
運動前には十分なウォームアップとストレッチを行い、適切なフォームとテクニックを守りましょう。

適切な姿勢と動作

膝関節への負荷を軽減するために、正しい姿勢と動作を心掛けましょう。
長時間の立ち仕事や座り仕事をする場合は、姿勢を保つために適度な休憩やポジションの変更を行いましょう。

転倒や怪我の予防

転倒や怪我は膝関節へのダメージを引き起こす可能性があります。
安全な環境の整備や注意深い行動を心掛け、予防策を講じましょう。

適切な靴の使用

足や膝のサポートをするために適切な靴を選びましょう。
クッション性や適切なアーチサポートがある靴を選ぶことで、膝関節への負担を軽減することができます。

半月板損傷

半月板は、膝の関節の中にあるC型をした板状の組織で、骨と骨の間に挟まってクッションとしての働きをしています。
膝は他の関節と違って、骨と骨をつなぎとめる筋肉がありません。
そのかわりに靭帯や軟部組織、腱があり、半月板はそれらを安定させる役割を担っています。

膝は、曲げたり伸ばしたりするだけではなく、ねじり・すべりなどの動きも同時に行い、複雑かつ滑らかに動きます。
その動きを補助している半月板の負担はとても大きく、加齢とともに傷つきすり減っていきます。

日々の生活の中で、スポーツや事故などによる膝への大きな衝撃、長年の負荷の蓄積、加齢による老化などによって半月板が傷ついたり、割れたり、ひびが入ったりしている状態のことを半月板損傷といいます。

治療法としては、リハビリテーションや抗炎症薬の処方など保存的治療で経過を見ながら、症状が改善しない場合には手術を行います。
手術法には縫合術(損傷した部分を強力な糸で縫い合わせる方法)と切除術(はがれかけた軟骨や半月板を切り取る方法)の2種類があります。

膝靭帯損傷

膝関節は大腿骨(太ももの骨)、脛骨(すねの骨)、膝蓋骨(膝のお皿)の3つの骨で構成されており、大腿骨と脛骨がグラつかないよう前十字靭帯、後十字靭帯、内側側副靱帯、外側側副靱帯の4つの靱帯でつながっています。
前・後十字靱帯は大腿骨と脛骨の間で交差しており、前十字靭帯は脛骨が前へ出ないように、後十字靱帯は脛骨が後ろへずれないように動きを抑制しています。
また、内側・外側側副靱帯は膝関節の両側にあり、膝の左右の動きを抑えて膝関節の安定性を高めています。
これら4つの靱帯が耐え切れないほどの強い力が加わって、伸びたり切れたりした状態を膝靱帯損傷といい、膝に加わった力の向きによって損傷する靭帯は異なります。

治療は、内外側側副靭帯損傷、後十字靭帯損傷では装具やギプス固定などで保存的に経過をみることが多く、前十字靭帯損傷の場合は、膝の安定性を重視して、靭帯再建術を選択することも多いです。

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